2005年7月18日(月) <第1199号> ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 【149】労働基準監督署の監督指導 - ……………………………………………………………………………………… 労働基準監督官が事業場に立入調査をすることを「臨検」といいます。労働基準法第101条では、労働基準監督官が事業場等に臨検を行い、帳簿や書類の提出を求め、または使用者や従業員に対して尋問を行う権限をもつことが定められています。 臨検には、1)定期監督、2)申告監督、3)再監督の3種類があります。 1)の定期監督とは、労働基準監督署が計画を定め、その定期的な計画に基づく監督です。 2)の申告監督とは、労働基準監督署に対し、従業員等から法令違反の申告があった場合に実施されるものです。 3)の再監督とは、定期監督等のその後の実施状況を確認するためのものです。最近増加しているのは、2)の申告監督です。 ところで、労働基準法第102条は刑罰法規であり、ここでは労働基準監督官は司法警察官の職務を行うことが定められています。 ですから、労働基準監督官の監督指導に従わない悪質な場合は、送検・起訴に及ぶことも可能なのです。 ちなみに、労働安全衛生法関係の臨検は予告なしの抜き打ちが多いのに対し、労働基準法関係は、帳簿の確認や聞き取りが必要なために大抵予告があります。 臨検で問題があった場合は、「是正勧告書」か「指導票」が交付されます。是正報告書には、法令違反事項と是正期日が記載されており、期日までに是正して、是正報告書を提出しなければなりません。 一方の指導票は、法令違反ではないが労務管理や労働安全衛生法上改善すべき点があると判断された場合に交付されます。これも期日までに報告しなければなりません。 是正監督・指導を無視する場合や虚偽の報告をする場合は、改善の意思がない悪質な事業主と判断されて、送検されることもあります。労働基準監督官の監督・指導は、真摯に受け止めるべきでしょう。 <バックナンバー> 【130】労働保険の強制加入の強化 【131】日本の労務管理の父 【132】派遣社員の最低賃金の見直し 【133】育児休業等の特例 【134】労働審判法が期待すること 【135】国民年金保険料の口座振替割引制度 【136】認知症を知る一年 【137】社員の副業は違法か 【138】中小企業退職金共済制度への移行 【139】求人は正社員重視に 【140】成果型退職金制度をご存知ですか 【141】悪貨は良貨を駆逐する 【142】次世代育成支援対策推進法 【143】未払い残業代問題の抜本的解決策 【144】産業医に求められる心の病対策 【145】健康保険組合の異業種間の合併が可能に 【146】高年齢者雇用安定法 【147】民間型ADR 【148】JIS Q 15001
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