2005年6月21日(火) <第1172号>
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- 【140】成果型退職金制度をご存知ですか -
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従来の一般的な退職金制度は、退社時の賃金と勤続年数をもとに計算されました。支払い総額は退職時の基本給に、勤続年数が長くなるほど有利となる係数を掛け合わせて算出されます。
つまり、一人ひとりの仕事の成果よりも長く勤め上げたことを評価する退職金の仕組みといえます。
しかし、バブル崩壊の影響等により売上が停滞ぎみの企業にとっては、どの社員にも同じように高水準の退職金を約束するのは負担である、と考えるようになってきました。
そこで「成果型退職金制度」が最近になって急速に広がり、厚生労働省によるとすでに大企業の36%が当制度を採用し、今年も大手企業の導入が続いています。
○ 成果型退職金制度とは
成果型退職金とは、社員の能力や貢献度、勤続年数を点数に換算し、それをもとに退職時の一時金を算出する方法です。これは、ポイント制退職金とも呼ばれており、毎年の点数を累積し、退社時に一定の係数をかけたものが支払額になります。
○ 成果型退職金制度の特徴
成果型退職金は基本給と連動せず、勤続年数による係数の傾斜は緩やかになっています。毎年の成果や役職を反映してポイントを積み上げるため、同じ勤続年数であってもより上の等級に格付けされた者、または早く昇格した者が退職金の額も多くなり、その意味で能力主義賃金を反映したものであるといえます。
そのため、企業によっては、仕事で高い成果を上げることで退職金も増える、と強調して社員のやる気を促そうとしています。
○ 成果型退職金制度のメリット
成果型退職金制度は、企業からみて以下のようなメリットがあります。
a)昇給による退職金の自然増加を回避することができるため、人件費の削減につなげることができる
b)企業への貢献度を反映させた制度であるため、社員の意欲・モラールの向上が期待できる
c)人材流動化に対応しやすいため、中途入社員にとって不利にならない
○ 成果型退職金制度を導入する際の留意点
成果型退職金は「成果を上げた人には報いる」のが前提であるため、毎年の査定を公平に運用できるかが重要になります。評価結果に社員が納得できなければ、不満や不公平感が高まって士気に悪影響を及ぼすことにもなりかねません。
そのため、管理職に対して人事評価の研修を実施する企業もあります。
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