2005年3月11日(金) <第1070号>
<バックナンバー>
○ 目からウロコ
【01】"どうしようもないお役人"
【02】"顔に不自由している人"
【03】"相手の立場から物事が見える人"
【04】"私心が無い人 "
【05】"賢い人(1)"
【06】"賢い人(2)"
【07】"賢い子(1)"
【08】"フリップフロップする人"
【09】"賢い人(3)"
【10】"賢い子(2)"
【11】"賢い子(3)"
【12】"賢い子(4)"
【13】"陽気な人(1)"
【14】"賢い親(1)"
【15】"賢い親(2)"
【16】"当たり前にする人"
【17】"地道な努力家"
【18】"笑顔で接する人"
【19】"相手に好かれる人"
「あっ、そうか!」(第20回)
− 目からウロコが落ちる、人間模様(人のタイプや人間の関係)を知る −
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┃【20】成果主義は× ■■■■■■■■■■
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その理由は、日本の大企業においては、成果主義を含めた米国型モデルによる経営改革は失敗に終わると思うからです。
また、日本の企業においては、最も効率的な経営政策は長い時間をかけて上司と部下の信頼関係が築けるか、上司が強いリーダーシップを発揮できるかに集約されると考えているからです。
事実、日本の優良企業には上司と部下に高い信頼関係があります。部下は上司から仕事上で学べる点を評価し、部下は自分の私生活に気づかいをしながら、仕事を柔軟に任せてくれる上司に好感を持っています。
上司と部下に強い信頼関係が出来上がれば、上司と部下のコミュニケーションは今以上によくなり、携わっている業務の生産性が向上していきます。そのような高い信頼関係の背景には、「人への思いやり」を基盤にした人事制度のもとで、終身、人が安心して働ける職場環境があります。
どうして日本の大企業は、成果主義に基づく人事制度を採用するのでしょうか。
社員が多い大企業では、公正な評価が難しいのではないか。
公正な評価がなされなかったとき、特にモノづくりに深く関わっている工場や生産現場のモラルやモチベーションが低下し、良いモノが製造されないのではないか。
工場や生産現場はチームやグループで働いているので、社員個人の実績を測りにくく、成果主義賃金では"やりがい"を与えようとしても限界があります。
成果主義は成果につながる行動や最終成果しか重視していない(個人の潜在能力や意欲、勤務態度を軽視している)ため、人材が育たないのではないか。
成果主義は現行の人事制度の歪みを「埋めようとしている後ろ向き」の考え方です。そこにはヒトを「育てるという前向き」の姿勢は見られないのです。できる社員に報いて一層"やる気"を引き出すはずの成果主義。
短時間に成果を出せない社員は不要なのか。
本当に日本の大企業は、成果主義に移行することで社員の"やる気"を高め、有能な人材を確保することができるのか。
もし、社員の"やる気"を高めることで大企業の業績(利益)が上がるとすれば、ある「企業風土」とある「人財」が揃ったときだと思います。
成功者(「できる」と思われている社員)のみに報いるのではなく、失敗者(「できない」と思われてしまった社員)には"敗者復活(次のチャンスを与える)"の「企業風土」。
そして、対人関係の調整能力を持った、「気働き」(相手には敵意を生まず、相手に対する敬意を示す能力)ができるのがリーダー(「人財」)です。
あっ、そうか、「気働き」ができる人がリーダーなんだ!
(エッセイスト 大前乃英雄)
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