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2005年2月15日(火) <第1046号>
<バックナンバー>
○ 井上 充さん
【61】タクシー運転手と請負
【62】タクシー運転手という仕事
【63】雇用情勢
【64】高齢者雇用の取組み
【65】NEET(ニート)
【66】技能系社員登用制度
【67】個人業務委託
【68】労働形態の多様化
【69】雇用対策の転換
【70】採用の良否
【71】派遣労働者の現状
【72】新卒者内定状況
【73】ICという働き方
【74】某社人事担当者の悩み
【75】営業マンの休憩時間
【76】オーケストラの年収
【77】労働時間延長に動く独企業
【78】就業促進手当
【79】第三者行為労災について
【80】プライバシーマーク
【81】改正労働基準法
【82】過労自殺
【83】私的メールのモニタリング
【84】ビジネスマンが重視するものは
【85】社員の起こした交通事故について
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- 【86】基本4情報の漏洩 -
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1998年、京都府宇治市の住民基本台帳データが、流出しました。
宇治市の外部委託先のアルバイト学生が、持参したMOにテストデータとして乳幼児健診データをコピーし、名簿業者へ25万8,000円で販売したのです。
宇治市市議ら3人が、これに対してプライバシーを侵害されたとして損害賠償を求めました。京都地裁は、2001年12月25日に、被告である宇治市に対し、原告3人への1人当たり1万円の支払いを命じました。
市は原判決を不服として大阪高裁へ控訴しましたが、高裁は市の控訴を棄却しました。
2002年7月11日、最高裁が宇治市の上告を棄却する決定を出したことで、宇治市に賠償金の支払いを命じた大阪高裁判決が確定しました。
住民基本台帳の基本4情報の漏洩で、1人1万円の賠償金額が確定したことになります
住民基本台帳の基本4情報が名簿業者に流れたということは、自己情報のコントロール権に対する侵害があったとみなされたわけです。
業務受託者の社屋内作業でも実質的な指揮・監督関係は失われておらず、使用者責任は免れない。発注者は秘密の保持について、万全を尽くすべ義務を負う、とされました。
このような事態になるのを防ぐには、委託契約の委託先に対する監査権限と協力義務および損害賠償責任条項の見直しが必要です。
また、データを持ち出したアルバイト学生は、本人が持参したMOへコピーしたために、不問に付されました。職場への私物電子媒体の持込みは禁止すべきです。
この宇治市住民情報漏洩事件は、個人情報保護法の施行とは無関係に起こされてきたプライバシー権侵害に対する損害賠償請求訴訟です。
個人情報保護法が施行されると、同種の訴訟が急増すると言われています。企業として、対応策を講じておくべきでしょう。
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