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 |   2005年1月27日(木) <第1027号>
 ■労働・経営■
 <バックナンバー>
 ○ 井上 充さん
 【61】タクシー運転手と請負
 【62】タクシー運転手という仕事
 【63】雇用情勢
 【64】高齢者雇用の取組み
 【65】NEET(ニート)
 【66】技能系社員登用制度
 【67】個人業務委託
 【68】労働形態の多様化
 【69】雇用対策の転換
 【70】採用の良否
 【71】派遣労働者の現状
 【72】新卒者内定状況
 【73】ICという働き方
 【74】某社人事担当者の悩み
 【75】営業マンの休憩時間
 【76】オーケストラの年収
 ※2005年1月30日(日)まで掲載を予定しています。
 
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 - 【77】労働時間延長に動く独企業 -
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 時短先進国であったドイツの企業で、労働時間延長の動きが続いています。
 
 労働時間延長に先鞭をつけたのは、時短先進企業だったフォルクスワーゲン(VW)です。VWは2001年に独ミニバン工場を分社化し、他の国内工場よりも賃金が低く、労働時間が約9時間長い週38時間で、しかも残業手当なし、という新制度を導入しています。
 
 2004年6月には、電機大手のシーメンスが、国内2工場で週35.7時間から40時間に延ばすことで労働組合と合意しています。労働組合は見返りの賃上げを求めないとする内容で、時給換算では事実上の賃下げとなります。
 
 OECD(経済協力開発機構)の調査では、ドイツの年平均実労働時間は2003年時点で1,446時間と、日米の1,800時間前後、チェコの約1,970時間などと比べて大幅に短くなっています。
 
 欧州連合(EU)拡大で、ドイツ企業の各社とも現状のままでは、ドイツ国内の生産・開発機能を中・東欧諸国など人件費や諸経費が安い国外に移転せざるを得ない状況です。国内雇用を守るために、労働条件の低下を受け入れざるを得ないと、ドイツの労働組合は妥協を強いられました。
 
 他方で、日本の場合、どういう選択をすべきでしょうか。
 
 現状のままでは、正社員の労働条件だけを守り、正社員以外の労働条件低下と雇用の国外流出を加速させることになる気がしますが、いかがでしょうか。
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