2005年1月5日(水) <第1005号>
■労働・経営■
<バックナンバー>
○ 井上 充さん
【61】タクシー運転手と請負
【62】タクシー運転手という仕事
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- 【63】雇用情勢 -
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2002年8月に、完全失業率が過去最悪の5.5%を記録しました。その後、完全失業率は回復に向かい、4%台で推移しています。
人手不足感は、医療・福祉やサービス業から、幅広い業種に広がり始めています。企業が生み出した付加価値に対し、人件費が占める割合を示す労働分配率も、2004年年1-3月期に64.9%と、過去5年間で5ポイント低下しています。
企業の人件費負担も減少しています。技能の伝承やチームワークなどの面から正社員を見直す動きも生まれてきました。経営環境に応じて人件費を増減できるよう、正社員よりも派遣社員など非正規社員の雇用を先行させる傾向が著しくなっています。一企業内においても、職種により雇用状況が異なり、職種別に賃金を設計し直す試みがなされています。
例えば、製造部門・一般事務職の賃金を引き下げ、研究開発・営業・総合事務職を厚遇するといった具合です。また、事務職・管理職は依然として雇用過剰が続いていますが、その一方で競争激化に伴い専門・技術職、営業職の雇用は不足しています。
戦力を確保するために、職種によって報い方を変える必要が生じてきたと考えられます。
また、競争力のある人材の流出を防ぎ、即戦力を採用しやすくするためにも、職種別の弾力的な賃金制度が有効となっているのです。
職種別賃金は、賃金を市場価値に近づけます。賃金が企業間格差だけでなく職種間格差を受けるようになったことを意味しています。
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