2004年8月27日(金) <第996号>
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人は変われる9つの原則
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【01】"しかし"を"そして"に変える
○ まずはほめる(原則1)
○ 遠回しに注意を与える(原則2)
人の気持ちや態度を変えようとする場合、ほんの一言の違いが、成功と失敗の分かれ目に
なることがあります。
あなたは、人を批判する際、まずはほめておいて、次に"しかし"ということばをはさんで、
批判的なことをいったことがありませんか。
「浩二、お父さんもお母さんも、お前の今学期の成績が上がって、ほんとうに鼻が高いよ。
しかし、代数をもっと勉強していたら、成績はもっと上がっていたと思うよ。」
この場合、"しかし"という一言が耳にはいるまで、浩二君は激励されて気をよくしました。
ところが、"しかし"ということばを聞いたとたん、今のほめことばが果たして本心だったのか
どうか疑ってしまいました。
結局は批判するための前置きにすぎなかったように思えてきました。信頼感がにぶり、勉強に
対する浩二君の態度を変えようとするねらいも失敗に終わりました。
そこで、"しかし"ということばを"そして"に変えると、すぐに成功に転じます。
「浩二、お父さんもお母さんも、お前の今学期の成績が上がって、ほんとうに鼻が高いよ。
そして、来学期も同じように勉強を続ければ、代数だって、ほかの課目と同じように成績が
上がると思うよ。」
こういえば、浩二君は、ほめことばのあとに批判が続かないので素直に耳を傾けます。
これで、浩二君に変えさせようとした問題点が遠回しに知らされたことになり、
その結果、彼は期待にこたえようと努力をします。
遠回しに注意を与える方法は、直接批判されることに強く反発する神経質な人たちには、
驚くほど効果があります。
【02】自分のあやまちを話す
○ まず自分の誤りを話した後、相手に注意を与える(原則3)
人に小言をいう場合、謙虚な態度で、「自分は決して完全ではなく、よく失敗をする」と前置きをして、それから相手の間違いを注意してやると、相手はそれほど不愉快な思いをせずにすみます。
責める前にほめるのではなく、責めた後でほめます。
○ 命令をせず、質問をする/意見を求める(原則4)
命令ではなく、暗示を与えます。
「あれをせよ」「そうしてはいけない」などとは決していいません。
「こう考えたらどうだろう」「これでうまく行くだろうか」などといった具合に相手の意見を求めます。
いつも自主的に仕事の機会を与えます。決して命令などはせず、自主的にやってもらいます。
そして、失敗から学んでいきます。
こういうやり方をすると、相手は自分のあやまちが直しやすくなります。
相手の自尊心を傷つけず、重要感を与え、反感の代わりに協力の気持ちを起こさせます。
命令を質問のかたちに変えます。そうすることで、相手に気持ちよく受け入れられます。
さらに相手に創造性を発揮させることになります。
命令が出される過程に何らかの形で参画すれば、だれでもその命令を守る気になります。
【03】相手の顔をつぶさない
○ 相手の顔を立てる!(原則5)
これは大切なことです。
しかも、その大切さを理解している人は果たして幾人いるでしょうか。
多くの人が自分の気持ちを通すために、他人の感情を踏みにじって行きます。
相手の自尊心などは全く考えないのです。人前もかまわず、使用人や子どもを叱りとばします。
もう少し考えて、一言二言思いやりのあることばをかけ、相手の心情を理解すれば、
そのほうがはるかにうまく行きます。
従業員たちを、どうしても解雇しなければならない不愉快な場合によく考えてください。
雇いの人たちを解雇する際には、たとえば、次のように、もう少し思いやりのある方法を考えて
ください。
「あなたのお仕事ぶりには、まったく感心しています(実際にその人がよく働いたとして)。
あなたにはあんな実力があるのですから、どこへいらっしゃっても大丈夫でしょう。
我々はあなたを信じていますし、また、できるかぎりのお力添えもしたいと思っています。
どうぞ、このことを忘れないでください。」
その結果、相手は解雇されたことをあまり苦にせず、明るい気持ちで去って行けます。
突っぱなされた気がしないのです。会社に仕事がありさえすれば、つづいて雇ってくれたに違い
ないと思うからです。
会社が再度その人たちを必要とした場合には、喜んで来てくれます。
あなたが失敗したのは、能力不足ではなく、経験不足だっただけです。
たとえ、自分が正しく、相手が絶対に間違っていても、その顔をつぶすことは相手の自尊心を
傷つけるだけに終わります。
大切なことは、相手を私がどう評価するかではなくて、相手が自分自身をどう評価するかです。
相手の人間としての尊厳を傷つけることは、犯罪に相当します。
【04】批評の代わりに賞讃を用いる
○ わずかなことでも、すべて、惜しみなく、心からほめる(原則6)
批評の代わりにどうして賞讃を用いないのでしょうか。
たとえ、少しでも相手が進歩を示せば、心からほめましょう。
それに力を得て、相手はますます進歩が向上します。
ほめことばは、人間に降りそそぐ日光のようなものです。
それなしには、花開くことも成長することもできません。
私たちは、事あるごとに批判の冷たい風を人に吹きつけますが、
ほめことばという温かい日光を人にそそごうとはなかなかしないのです。
「お世辞で青年をおだてたのではなかったのです。
製品のどこが優れているか、はっきりと説明したのです。
そのために、ほめことばの意味が相手の心に伝わったのでした。
誰でもほめてもらうことはうれしいのです。
だが、そのことばが具体性を持っていて初めて誠意のこもったことば、
つまり、ただ相手を喜ばせるための口先だけのものではないことば、
として相手の気持ちをじかにゆさぶるのです。」
私たちは、他人から評価され、認められたい願望があり、そのためにはどんなことでもします。
だが、心のこもらないうわべだけのお世辞には、反発を覚えます。
人を変えようとして、相手の心の中に隠された宝物の存在に気づかせることができたら、
単にその人を変えさせるだけではなく、別人を誕生させることができるのです。
批判によって、人間の能力はしぼみ、励ましによって、花開きます。
【10】腹を割って話し合う
○ 期待をかける(原則7)
最近まで立派な仕事をしていた従業員の仕事ぶりが粗雑になってきた場合、
どうすればよいのでしょうか。
そこで従業員をどなりつけたり、おどしたりする代わりに、自分の事務所に呼んで、
腹を割って話し合いました。
「A君、君は優秀な××だ。経験も豊富だ。
君の立派な仕事ぶりを大勢のお客さんがほめている。
だが、最近、どうも仕事の能率が落ち、出来映えも今までにくらべてもうひとつのようだ。
これまで君は人並みはずれた腕の持主だった。
それだけに、近頃の君の仕事ぶりが私には不満だ。
だから、こうやって君と直接に話し合い、解決策を二人で考えたいのだ。」
A君は、自分の仕事ぶりが低下していることに気づいていなかったらしいのです。
それで今の仕事は、自分の能力の及ばないものでは決してないので、これからも
もっと努力すると約束しました。
この約束をA君は守りました。
彼は再び以前と変わらず速くて、しかも入念な仕事をする××になりました。
どこかいいところを見つけて、それに敬意を表してやると大抵の者はこちらの思いどおりに
ついてきます。
要するに相手をある点について矯正したいと思えば、その点について彼は既に人よりも
長じているといってやることです。
相手に美点を発揮させたければ、彼がその美点を備えていることにして、公然とそのように
扱ってやります。
良い評判を立ててやると、その人間はあなたの期待を裏切らないように努めるのです。
○ 激励して能力に自信を持たせる(原則8)
長所をほめて、欠点のことはあまりいいません。
そして、相手の能力をこちらは信じているのだと知らせてやるのです。
そうすれば相手は、自分の優秀さを示そうと懸命に頑張ります。
○ 喜んで協力させる(原則9)
「××の上手な断り方(たとえば講演の断り方)」
忙しいとか何だとか、こちらの都合をいうのではなく、まず依頼されたことに対して、
心から感謝の意を表し、残念ですがどうしても都合がつかないと告げ、その代わりに
別な講演者を推薦します。
つまり相手に失望を感じる余裕を与えず、他の講演者のことを考えさせるのです。
人を変える必要が生じたとき、次のような自問自答をします。
● あなたは誠実に対応していますか。
守れない約束はしません。自分の利益は忘れ、相手の利益だけを考えます。
● あなたは相手に期待する協力は何ですか。
明確に把握してください。
● あなたは相手の身になっていますか。
相手の真の望みは何ですか。
● あなたに協力すれば相手にどんな利益がありますか。
● あなたは望み通りの利益を相手に与えていますか。
● あなたは人にものを頼むとき、
その頼みが相手の利益にもなると気づくように話していますか。
●「問い合せをする・質問がある」方はこちらから●
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